情報処理推進機構（IPA）は2008年6月26日、2009年4月に情報処理技術者試験の一つとして開始する「ITパスポート試験」のサンプル問題70問を公開した。07年12月に公開した「新試験制度の手引」で30問を公開済みで、計100問のサンプル問題を公開したことになる。
ITパスポート試験は、すべてのビジネスパーソンが備えるべきITに関する基礎的な知識を測るのが目的。現行の「初級システムアドミニストレータ試験」の後継に当たる。初級システムアドミニストレータ試験の範囲に加え、現行の「基本情報技術者試験」の一部が含まれる。
試験は165分の四肢択一型で、計100問。ストラテジ系（35％程度）、マネジメント系（25％程度）、テクノロジ系（40％程度）から出題される。総合得点の60％以上で、かつ分野別得点の30％以上が合格基準となる。
以下はサンプル問題の一部（正解は本文末）。このほかのサンプル問題は「ITパスポート試験（レベル1）シラバス」に掲載されている。
(1) 不正アクセス禁止法において、不正アクセスと呼ばれている行為はどれか。
ア 共有サーバにアクセスし、ソフトウェアパッケージを無断で違法コピーする。
イ 他人のパスワードを使って、インターネット経由でコンピュータにアクセスする。
ウ 他人を中傷する文章をインターネット上に掲載し、アクセスを可能にする。
エ わいせつな画像を掲載しているホームページにアクセスする。
(2) システム化計画の立案に含まれる作業はどれか。
ア 機能要件の定義
イ システム要件の定義
ウ ソフトウェア要件の定義
エ 全体開発スケジュールの検討
(3) システムの利用者に対するサービスレベルを評価するための項目として、適切なものはどれか。
ア システム開発にかかったコスト
イ システム障害からの回復時間
ウ システムを構成するプログラム本数
エ ディスク入出力の回数
(4) 2進数1111と2進数101を加算した結果の2進数はどれか。
ア 1111
イ 1212
ウ 10000
エ 10100
(5) 複数の選択肢から一つを選ぶときに使うGUI（Graphical User Interface）部品として、適切なものはどれか。
ア スクロールバー
イ プッシュボタン
ウ プログレスバー
エ ラジオボタン
サンプル問題を載せたシラバスは、新試験制度の手引で示した試験範囲をさらに詳細化したもの。ITパスポート試験の出題範囲を大分類・中分類として62項目に分けている。各項目で目標を設定して要求する知識の幅と深さを示し、学ぶべき内容を用語例や活用例などの具体例で示す。加えて、実際の試験問題をイメージできるように、サンプル問題を項目の終わりに載せている。
IPAは今回のシラバスを「Ver 1.0」としており、今後段階的にバージョンを上げていく予定。ただし09年4月の試験開始までには「表現をわかりやすくするなどの修正は施すかもしれないが、大きな変更はない」（IPA情報処理技術者試験センターの川口修センター長、写真）と表明した。
目標とする受験者数については、「特に何人と決めているわけではないが、できるだけ多くの人に受験してほしい。まずは初級システムアドミニストレータ試験と同程度以上の人数を集めたい」と川口センター長は語る。
（上記サンプル問題の正解は(1)イ、(2)エ、(3)イ、(4)エ、(5)エ）
